We’ve updated our Terms of Use to reflect our new entity name and address. You can review the changes here.
We’ve updated our Terms of Use. You can review the changes here.

水​面​に​映​る​我​思​い​、​佇​む

by 不実 fujitu

/
  • Streaming + Download

    Includes unlimited streaming via the free Bandcamp app, plus high-quality download in MP3, FLAC and more.
    Purchasable with gift card

      ¥200 JPY  or more

     

lyrics

あれはもう20年以上前の出来事だった
大きく吐いた溜息は白く、辺り一帯の田畑には夜霜が降りていた
そんな光景を今でも覚えている
私は両手で数えるには足りない程の年齢になり、この頃から人付き合いが苦手だと意識し始めていた
それは今だって変わらずあの時の記憶と共に残り続けている

いつものように明日の朝起きれば学校へ向かわなければならないことを憂鬱に感じながらも、重たくなる目蓋には逆らえずゆっくりと目蓋を下した
今思えばあのまま深い睡眠の中で楽しい夢を見ながら朝を待つことが出来れば、どんなに良かったかと思うが、そうではなかった
深い睡眠のままもう目覚めなくても良かったんじゃないか

絶えず、自分の運命は呪われているんじゃないかと思っている
まだ確信は持てないけど、何故かそのような気がしてたまらないんだ
もしそうだとしたらこれから自分がどうなってしまうか結末が分かっていることになるんだよ、そんな恐怖からはどうしても逃れたくて

深い眠りを切り裂く音が響き、私は心臓を握りつぶされたような痛みと共に目を覚ました、状況が飲み込めず只々耳を澄ましていた
静寂の中、自分の心臓の鼓動だけが聞こえる、何かの間違いだったと安心した
間もなく知っている人の知らない声が響き渡る

私だって気付いてはいた、いつかこんな日が訪れるのだろうと
だけど少しだけ期待していたんだ、もしかしたらみんなで笑い合える日が来るんじゃないかって、そう思っていた
そんな幻想に憑りつかれていたから現実との隔たりを何とか埋めることが出来ていた
途絶えることのない怒号に震えながら夜具に覆い被さり耳を塞いだ
身を知る雨は降り注ぐ

自分の運命を忘れたことなどなかった、けれどそれを頭の片隅に追いやる程の喜びに浮かれていたんだ
少し立ち止まればよかっただけなのに、それすらも出来ずにここまで来てしまった
愛している者を傷付けてしまう未来が訪れることを知っていながら、それでも私は独りよがりに、日々喜びを重ねることの心地よさから抜け出ることが出来なかった
今こうしている間も刻々と血は脈打ち流れ続けている、肥大化していく憂いに目を背ける隙も無くなり運命はゆっくりと着実に現実味を帯びてきている
でももし、運命を受け入れ孤独に彷徨っていたらどうだろう
今ある幸せを知らずに生きていくことになり、愛する者だって存在しないことになる
お前もそんなことは望んでいないだろ

credits

released May 5, 2023

license

all rights reserved

tags

about

不実 fujitu Japan

contact / help

Contact 不実 fujitu

Streaming and
Download help

Report this track or account

If you like 不実 fujitu, you may also like: